其れ等がクルマの進化と共に収束し、現在の様式になっているわけですが、実は人間工学の観点からも理に適っていると言えます。
人間の右足と左足には脳の構造上、違う役目を持っています。
右足は蹴り足、即ち前進力、パワーを発生する足とされています。
左足は軸足(方向指示足)、即ち進行方向、ベクトルを決める足とされています。
従って人間がグランドを周回する時に、左回りが得意なのは其の為です。
サッカで考えても容易に想像が着くでしょう。
そして自動車ですが、左がブレーキ・ペダルで右がアクセル・ペダルです。
別に左足ブレーキを推奨しているわけではありませんが、ブレーキは何の為に付いてるかと問えば、殆どの方が「止まる為」と答えるでしょう。
正解ではありますが、運転が好きな人間なら「曲がる為」「加重移動の為」等と色々答えるでしょう。
即ちベクトルです。
クルマは速度が上がれば上がる程、ステアリングを切っても曲がり難くなります。
其の為、コーナ入り口手前や危険回避等で急激なハンドル操作を伴う場合は、先ずブレーキを踏み、前輪に十分な荷重を掛けタイヤの粘着(グリップ)力を得る事が要求されます。
「危険を感じたら先ずブレーキ」と言われるのは其の為です。
だから危険を感じステアリングで避けようとする人は、曲がり切れずに事故ります。
従って自動車事故で「ハンドル操作を誤り」云々という報道は、「ハンドルだけで避けようとした」若しくは「ブレーキの遅れ」とすべきだと思います。
最近では殆どのクルマがABSで車輪はロックしない為、只踏むだけではなく「ブレーキ・ペダルが折れる位思いっ切り踏み続けろ」と言います。
従って踏ん張って加重移動し曲がるという観点からすれば、左にブレーキ・ペダルがあるのは合理的と言えます。
実際カートではブレーキが左足専用です。
レーサやラリー・ドライバでも左足ブレーキを使う人は居ますが、競技スペックの構造上仕方無いヒール&トー(ローリング・トー)と違い、飽く迄踏み変えタイムのロスを無くすテクニックの範疇なので、使わない人は多いです。
但し何れにしてもアクセルとブレーキを同時に踏み込んだり、緊急時以外の通常運転で、ブレーキを踏みながらハンドル操作をしてはいけません。
昔教習所では、ペダルに足を乗せているだけで減点する教官が居ましたが、足が遊んでる時はブレーキ・ペダルに有る方がいざという時に踏み遅れなくて安全です。