マクロスF(フロンティア)[終]
* 放送日時9/27 (土) 2:30 〜 3:00 (30分) この時間帯の番組表
* 放送局SBS
* ジャンルアニメ/特撮 - 国内アニメ
* 番組概要 最終回(第25話)「アナタノオト」
* 番組詳細 バジュラたちとの決死の攻防を繰り返すフロンティア船団。しかしバジュラの力は強大で、フロンティアの居住区アイランドワンは危機に瀕する。敵本星に向かうバトルフロンティア。その時、ブリッジのステ―ジに現れたシルエットがあった・・・。
中村悠一 中島愛 遠藤綾 福山潤 小西克幸 豊口めぐみ 大川透 小林沙苗 桑島法子 三宅健太 田中理恵 平野綾 福原香織 井上喜久子 杉田智和 (他)
オ―プニングテ―マ/May`n(メイン)/中島愛「ライオン」 エンディングテ―マ/シェリル・ノ―ム starring May`n(メイン)「ノ―ザンクロス」
(C)2007 ビッグウエスト/マクロスF製作委員会・MBS
HD 16:9 コピー1
最終回を見終えた。
矢張りマクロス・シリーズは健康的で見易くて良い。
マクロスプラスは当時の朝鮮半島情勢が反映されていたが、マクロスフロンティアは言う迄もなく中国だ。
今回のシリーズでの付加価値としての新要素は『萌え』とナウシカの『オウム(王蟲)』とスタートレックDS9の『α宇宙域vsγ宇宙域』、萌えは言う迄もなくランカちゃーん!の事で、オウムはバジュラ、そしてバジュラの大群がフォールドで現れる姿は、ワームホールからカーデシアとドミニオン船団がガンマ宇宙域からアルファ宇宙域へ攻め込んで来るシーンに酷似している。
しかしバジュラを中国人に見立てるとは思い切った事をする。
艦長「そうか…そのためのバジュラだ!逆らう者には死を、受け入れる者には隷属を」
「逆らうから殺されるんだ」とは日本で活動している似非左翼の台詞ですが、彼等の言う平和とはそう言う物で、もっと言及すれば座して死を待つ「一方的に危害を受ける虐殺行為は戦争ではないので平和だ」というのが無防備マンの考え方で大中華思想の本質を突いてますね。
話の全容としては単純で、要はフロンティア船団こと民主主義で資本主義な国々が、バジュラの惑星こと一党独裁の共産主義の中国大陸へ、「自由に商売させろ!」と攻め入るわけです。
普通ならランカの様なキャラクタはアニメの構成上仲介役として設定され其の存在に徐々に気付いて終息して行くのだが、バジュラの因子を持つランカが人類の敵として描かれ展開されて行く第21話『蒼のエーテル』以降で、人類とバジュラがどうやって折り合いを付けて行くかという所が見所だった。
ブレラ「クイーンの頭を狙え!」
アルト「頭?」
ブレラ「バジュラの心は頭ではなく、腹にある」
結局、世界各国で暴動を起こしている中国人は共産党による官製デモだと。
即ちバジュラ(=中国人)を乗っ取ったグレース・オコナー(=共産党総書記)が悪い、共通の敵だ!」という『中国共産党脅威論』で振り上げた拳を収める事となるのだが、真の仲介役がシェリルだったというバランスの取り方が中々だった。
三島由紀夫じゃなかったレオン三島はあっさり目の結末だったがw
ランカ「バジュラはお腹で歌うんだよ」
成る程、丹田の事ですね、わかります。
詰まる所、歌は氣だったわけだ。
バジュラの成虫やバジュラ・クイーンの姿は正に密教法具の梵名『ヴァジュラ (वज्र [vajra])』である金剛杵(こんごうしょ)の厳ついフォルム其の物だった。
そして最後にアルトがミッシェルの肩身のライフルでグレースの頭を打ち抜くシーン、ミシェルの青い機体に一瞬見せる所や戦死者の思いを背負って一発入魂する様は、正にVガンダムのラストを髣髴させられた。
とまぁカタルシス的にはこんな感じで、矢張り“多様性を認め存続させる事にこそ未来を切り開く力がある”という日本のアニメのフォーマット、やる事成す事みんな王道其の物で、故に健康的なわけだが、マクロス25周年記念というだけあって力作だったと思う。
全25話という限られた中での絶妙な割り振りと展開、前半は初代マクロスに盛り込まれて来た昭和の匂いが香るヤマトな古臭さや三角関係も健在という型通りの展開、後半は単なる懐古主義にせず現在の社会情勢を盛り込んで話を進めて行った。
そして最終回一番最後、男と女のカップルで映像を落とすシーンも今思えば古いと言うより矢張り其れが当たり前で普遍的価値なんだなと改めて思わされる。
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